飲酒と心筋梗塞の関係について、「少しなら体にいいと聞いた」「でも飲みすぎは怖い」・・・・そんな迷いを感じていませんか。
情報が多く、何を信じればいいのか分からなくなるのも無理はありません。

私も毎日飲酒しますが、この記事では飲酒が心筋梗塞のリスクにどう影響するのかを、研究結果や日本人の体質も踏まえわかりやすく整理しました。
無理に飲む・やめるを決めるのではなく、ご自身の体と向き合うための判断材料をお伝えします。まずは正しい知識を知るところから、一緒に考えていきましょう。
この記事のポイント
① 飲酒と心筋梗塞の関係は単純ではなく、量や体質によって影響が大きく変わる
② 適量飲酒でリスクが下がる可能性はあるが、万人に当てはまるわけではない
③ 日本人に多い体質(ALDH2)や持病がある場合は、少量でも注意が必要
④ 心筋梗塞後の飲酒は「自分に合った安全な付き合い方」を見つけることが大切

筆者:癌サバイバーきのじー
2014:直腸ガン宣告〜、2016:一時ストーマ閉鎖手術〜以後排便障害で日々奮闘中、2022:狭心症心臓カテーテル手術、2025:肺がん転移と心筋梗塞。体はガタガタですがお酒と食べることは大好き。その昔トランペットとサラリーマンやってました。
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飲酒と心筋梗塞の関係が気になるのは自然なこと

● なぜ「お酒は心臓に良い」という話を耳にするのか
● 心筋梗塞を経験した人ほど不安になりやすい理由
● 飲酒に関する情報が分かれやすい理由
お酒と心臓の関係については、「体に良い」「いや危険だ」といった相反する情報があふれています。
とくに心筋梗塞や狭心症を経験した方、あるいは治療を続けている方にとって、日々の飲酒が本当に大丈夫なのか気になるのはごく自然な感情です。

ここではまず、「なぜ飲酒と心筋梗塞の話題がこれほど注目されるのか」を、落ち着いて整理していきましょう。
なぜ「お酒は心臓に良い」という話を耳にするのか
「適量のお酒は心臓に良い」という話は、突然出てきたものではありません。背景には、長年にわたる疫学研究(多くの人の生活習慣と病気の発症を追跡する研究)があります。
これらの研究では、
を比較したとき、少量〜中等量飲酒のグループで心筋梗塞の発症が少なかった、という結果が報告されることがありました。
そのため、
「お酒=心臓に良い」
という印象が広まりやすくなったのです。
ただし、ここには大切な前提条件があります。
・あくまで「統計的にそう見えた」という話
・個人にそのまま当てはまるとは限らない
・飲酒を勧める研究ではない
この点を押さえておくことが、とても重要です。
心筋梗塞を経験した人ほど不安になりやすい理由
心筋梗塞を一度経験すると、多くの方が生活習慣を見直します。

食事、運動、睡眠、そして「お酒」。
特に飲酒は、
- ストレス解消になる
- 人付き合いと切り離しにくい
- 長年の習慣になっている
といった理由から、「やめるべきか、続けてもいいのか」で強く悩みやすいテーマです。
さらに、医師やメディアから
と異なる説明を聞くことで、
「結局、自分はどうすればいいの?」
と混乱してしまう方も少なくありません。
飲酒に関する情報が分かれやすい理由
飲酒と心筋梗塞の関係が分かりにくいのは、理由があります。

主に次のような要因が重なっているからです。
・飲酒量に個人差が大きい
・年齢、性別、持病で影響が変わる
・日本人特有の体質差がある
・心筋梗塞「だけ」を見てはいけない
たとえば同じ「毎日お酒を飲む」でも、体への影響はまったく異なります。
| 状況の違い | 心臓への影響の考え方 |
|---|---|
| 少量をゆっくり飲む | リスクが上がらない可能性も |
| 一度に大量に飲む | 心筋梗塞リスクが上がりやすい |
| 高血圧・糖尿病がある | 影響が強く出やすい |
| お酒に弱い体質 | 少量でも注意が必要 |
このように、「飲酒」という一言では語れないほど、条件が複雑なのです。
ここで押さえておきたいミニまとめ
・飲酒と心筋梗塞の関係が気になるのは自然なこと
・「お酒は心臓に良い」という話には研究背景がある
・ただし個人差が非常に大きい
・心筋梗塞を経験した人ほど慎重に考える必要がある
次のパートでは、**「適量飲酒は本当に心筋梗塞リスクを下げるのか」**について、もう少し具体的に掘り下げていきます。
適量飲酒は心筋梗塞リスクを下げると言われる背景

● HDLコレステロールと飲酒の関係
● 血小板・血流への影響についての考え方
● 「適量」とされる飲酒量の目安とは
● 研究結果をそのまま信じてよいわけではない理由
「少しならお酒は心臓に良い」と言われる理由には、いくつかの生理学的な仕組みが関係しています。
ただし、これは**条件がそろった場合に“そう見えることがある”**という話で、誰にでも当てはまる万能な結論ではありません。

ここでは、なぜそのように考えられてきたのかを、順を追って整理します。
HDLコレステロールと飲酒の関係
適量飲酒が注目された理由のひとつが、**HDLコレステロール(善玉コレステロール)**です。
HDLコレステロールは、
・血管にたまった余分なコレステロールを回収する
・動脈硬化の進行を抑える方向に働く
といった役割があるとされています。
いくつかの観察研究では、
少量〜中等量の飲酒をしている人のほうが、HDLコレステロール値がやや高い傾向
が見られました。
その結果として、
「動脈硬化が進みにくく、心筋梗塞が少ないのではないか」
という仮説が立てられてきたのです。
ただしここで大切なのは、
HDLが上がった=必ず心筋梗塞が防げる
という単純な話ではない、という点です。
血小板・血流への影響についての考え方
もうひとつの視点が、血液の流れやすさです。
適量のアルコール摂取では、
・血小板の働きがやや抑えられる
・血液が固まりにくくなる方向に働く可能性
が指摘されてきました。

心筋梗塞は、
「動脈硬化+血栓(血のかたまり)」
が引き金になることが多いため、血流への影響が注目されたのです。
ただし、
・量が増えると逆に不整脈が出やすくなる
・脱水で血液が濃くなる
といったマイナス面も同時に起こり得るため、非常に繊細なバランスの上に成り立つ話だと理解しておく必要があります。
「適量」とされる飲酒量の目安とは
よく話題になる「適量飲酒」ですが、実はかなり幅があります。
一般的な研究で用いられる目安としては、
・純アルコール量で 1日20g前後
がひとつの基準として使われることが多いです。
具体的には、
・ビール中瓶1本程度
・日本酒1合弱
・ワインならグラス1〜2杯
といった量が目安にされることがあります。
ただしこれは、
・成人
・肝機能に問題がない
・心不全や重い不整脈がない
・お酒に比較的強い体質
といった条件がそろった場合の話です。
研究結果をそのまま信じてよいわけではない理由
ここで一度、立ち止まって考えることが大切です。

適量飲酒でリスクが低く見えた研究には、
次のような背景が含まれている可能性があります。
・適量飲酒者は生活習慣が比較的整っている
・社会的つながりが保たれている
・定期的に医療を受けている
つまり、
「お酒そのもの」ではなく「生活全体の影響」
が結果に反映されている可能性も否定できないのです。
このパートのミニまとめ
・適量飲酒が注目された背景には研究データがある
・HDLコレステロールや血流への影響が指摘されてきた
・ただし効果は限定的で個人差が非常に大きい
・「適量」の前提条件を無視すると誤解につながる
次は、**反対に「大量飲酒がなぜ心筋梗塞リスクを高めるのか」**について、より現実的な視点で見ていきましょう。
大量飲酒が心筋梗塞リスクを高める理由

● 血圧上昇・不整脈・動脈硬化への影響
● 肥満・糖尿病・喫煙との相互作用
● 「たまの飲みすぎ」が積み重なるリスク
ここまで「適量飲酒」に焦点を当ててきましたが、現実的により重要なのは大量飲酒がもたらすリスクです。
循環器の現場では、「お酒が原因のひとつになっている」と考えられるケースも少なくありません。

なぜ飲みすぎが心筋梗塞につながりやすいのか、順に整理します。
血圧上昇・不整脈・動脈硬化への影響
アルコールを多く摂取すると、体には次のような変化が起こりやすくなります。
・交感神経が刺激され血圧が上がる
・心拍数が増え、脈が乱れやすくなる
・血管内皮(血管の内側)が傷つきやすくなる
とくに注意したいのが、血圧の上昇です。
高血圧は心筋梗塞の最大級の危険因子のひとつであり、飲酒による慢性的な血圧上昇は、知らないうちに動脈硬化を進めてしまいます。
また、大量飲酒後に起こりやすい
・心房細動
・頻脈
といった不整脈は、心臓に余計な負担をかけ、心筋虚血(心臓の血流不足)を招くことがあります。
肥満・糖尿病・喫煙との相互作用
飲酒の問題点は、「お酒単独」では終わらないところにもあります。
大量飲酒を続けている方では、
・食事量が増えやすい
・夜遅い時間の摂取が増える
・運動量が減りがち
といった傾向が重なり、肥満や糖代謝異常を招きやすくなります。
さらに、
・喫煙
・脂質異常症
・睡眠不足
などが加わると、心筋梗塞リスクは足し算ではなく掛け算的に上昇していきます。

「お酒だけが悪い」というより、
飲酒を中心に生活習慣全体が崩れていくこと
が問題の本質と言えるかもしれません。
「たまの飲みすぎ」が積み重なるリスク
「毎日は飲まないけれど、週末にまとめて飲む」
「付き合いの場ではつい飲みすぎてしまう」
こうした飲み方も、決して安全とは言えません。
短時間に大量のアルコールが入ると、
・急激な血圧変動
・脱水による血液濃縮
・血管収縮
が起こりやすく、心筋梗塞や突然死の引き金になることもあるとされています。
特に、
・ステント治療後
・抗血小板薬を内服している
・高齢の方
では、「たまの飲みすぎ」でも体への影響が強く出やすいため注意が必要です。
このパートのミニまとめ
・大量飲酒は血圧・不整脈・動脈硬化を悪化させやすい
・他の生活習慣リスクと重なることで影響が増幅する
・「週末だけの飲みすぎ」も安全とは言えない
・心筋梗塞を経験した人ほど慎重な判断が必要
次は、**「では実際に、どのくらいの飲酒量ならリスクが下がる可能性があるのか」**について、研究データをもとにもう一段具体的に見ていきます。
どのくらいの飲酒量ならリスクは下がる可能性があるのか

● 国際的な研究で示される飲酒量の範囲
● 年齢・性別・基礎疾患による違い
● 「飲まない選択」と比べたときの考え方
● 自分に合った“適量”を考える視点
「適量なら心筋梗塞リスクが下がる“可能性”がある」と言われても、結局いちばん知りたいのはどのくらいの量なのかという点ではないでしょうか。

ここでは、研究でよく使われる基準と、その受け取り方の注意点を整理します。
国際的な研究で示される飲酒量の範囲
多くの疫学研究では、飲酒量を**純アルコール量(g/日)**で評価しています。
心筋梗塞リスクが最も低く見えたとされるのは、概ね次の範囲です。
| 純アルコール量(目安) | 一般的な飲み物換算 |
|---|---|
| 約10〜20g/日 | ビール中瓶0.5〜1本 |
| 日本酒0.5〜1合弱 | |
| ワイン1〜2杯 | |
| 焼酎(25%)0.3〜0.6合 |
この範囲を超えると、
・リスク低下効果は見られなくなる
・むしろ心筋梗塞や他の循環器疾患リスクが上昇する
という結果が多く報告されています。
ただし重要なのは、「この量を飲めば安全」という保証ではないという点です。
年齢・性別・基礎疾患による違い
同じ量を飲んでも、影響は人によって大きく異なります。
特に影響を受けやすいのは、
・高齢の方
・女性
・心筋梗塞や狭心症の既往がある方
・心不全、不整脈、高血圧がある方

こうした場合、研究で示された「適量」でも、
体には“多すぎる量”になることがあります。
また、薬との相互作用も無視できません。
抗血小板薬や降圧薬を服用している場合、飲酒の影響が強く出ることもあります。
「飲まない人」と比べたときの考え方
研究をよく見ると、
「少量飲酒者は、まったく飲まない人より心筋梗塞が少なかった」
と表現されることがあります。
しかし、ここにも注意点があります。
・もともと病気があって飲めない人が含まれている
・過去に大量飲酒してやめた人が含まれている
・健康状態が均一ではない
こうした背景があるため、
「飲まないより飲んだほうが良い」と単純には言えません。
実際、近年では
「無理に飲酒を始める必要はない」
「飲まない選択が最も安全な場合も多い」
という考え方が主流になりつつあります。
自分に合った“適量”を考える視点

大切なのは、数字をそのまま当てはめることではなく、
自分の体と状況に合わせて考えることです。
判断のヒントとしては、
・翌日に動悸や血圧上昇がないか
・睡眠の質が落ちていないか
・飲酒量が徐々に増えていないか
といった体のサインを見逃さないことが大切です。
このパートのミニまとめ
・研究上の「適量」は純アルコール10〜20g/日程度
・年齢や持病によって安全域は変わる
・飲まない人が無理に飲む必要はない
・量よりも“自分の体の反応”を重視することが重要
次は、飲酒と心筋梗塞の関係を示した主要な研究・論文について、エビデンスの見方をやさしく解説していきます。
飲酒と心筋梗塞の関係を示す主要な研究・論文

● 観察研究と介入研究の違い
● よく引用される海外・国内の研究結果
● 研究結果を日常生活にどう活かすか
ここまでお読みいただくと、「研究ではそう言われているけれど、どんな論文が根拠なの?」と気になる方も多いと思います。

ここでは、飲酒と心筋梗塞の関係を語るうえで、よく引用される研究の考え方と、読み解く際の注意点を整理します。
観察研究と介入研究の違い
まず大前提として知っておきたいのが、研究の種類の違いです。
飲酒と心筋梗塞の多くは、次のような観察研究に基づいています。
・何万人もの生活習慣を長期間追跡
・飲酒量と心筋梗塞発症率を比較
・実際にお酒を飲ませるわけではない
一方で、
「この人たちはお酒を飲んでください」
「こちらの人は飲まないでください」
と割り付ける**介入研究(ランダム化比較試験)**は、倫理的に難しく、ほとんど行われていません。
つまり、
因果関係を断定できるレベルの証拠ではない
という点は、必ず頭に置いておく必要があります。
よく引用される海外・国内の研究結果
これまでに発表されてきた大規模研究では、次のような傾向が繰り返し報告されています。
・少量〜中等量飲酒者で心筋梗塞が少ない
・大量飲酒者ではリスクが明らかに上昇
・「J字型カーブ」と呼ばれる関係が示される

J字型カーブとは、
「まったく飲まない → 少量でやや低下 → 多量で急上昇」
という形です。
ただし、近年の再解析では、
・飲まない群の背景を厳密に調整すると差が小さくなる
・健康意識や社会背景の影響が大きい
といった指摘も増えています。
つまり、
お酒そのものの効果は、想像より控えめかもしれない
という見方が強まってきているのが現状です。
研究結果を日常生活にどう活かすか
論文を読むときに大切なのは、
「結論だけを切り取らない」
ことです。
研究から読み取れる現実的なポイントは、次のようになります。
・大量飲酒は明確にリスク
・少量飲酒のメリットは限定的
・生活習慣全体の影響が非常に大きい
特に心筋梗塞を経験した方の場合、
論文の平均値よりも「自分の再発リスク」
を優先して考える必要があります。
主治医が飲酒について慎重な姿勢を示すのは、
「研究を知らないから」ではなく、
個別リスクを踏まえた判断であることがほとんどです。
このパートのミニまとめ
・飲酒研究の多くは観察研究である
・因果関係を断定できるわけではない
・少量飲酒の効果は限定的と考えられてきている
・論文よりも「自分の状況」を優先することが大切
次は、日本人特有の体質(ALDH2変異)と飲酒リスクについて掘り下げていきます。ここは、とても重要なポイントです。
日本人特有の体質(ALDH2変異)と飲酒リスク

● お酒に弱い体質とは何か
● こんな特徴がある人は要注意
● 顔が赤くなる人が注意すべき理由
● 少量でもリスクが高まる可能性について
飲酒と心筋梗塞の話を日本で考えるとき、どうしても外せないのが体質の違いです。
特に日本人(東アジア)には、アルコールの分解に関わる酵素の働きが弱い人が一定数いて、同じ飲酒量でも体への負担が大きくなりやすいことが知られています。

ここでは、その代表が**ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)**のタイプ差です。
お酒に弱い体質とは何か
アルコールは体内で次の順に分解されます。
・アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸(無害に近い形)
この途中で出てくるアセトアルデヒドが、いわゆる「毒性が強い物質」です。
これを分解する主役がALDH2ですが、日本人ではこの酵素の働きが弱いタイプ(変異)を持つ人が比較的多いとされています。
こんな特徴がある人は要注意
・少量でも顔が赤くなる
・動悸が出やすい
・頭痛や吐き気が出やすい
・翌日に残りやすい
こうした反応は、「気合で慣れる」類のものではなく、体質由来のサインである可能性が高いです。
顔が赤くなる人が注意すべき理由
顔が赤くなる(フラッシング)現象は、アセトアルデヒドが体内にたまりやすい状態を示唆します。

アセトアルデヒドがたまると、次のような反応が起こりやすくなります。
・血管が拡張・収縮を繰り返し血圧が不安定になる
・交感神経が刺激され心拍数が上がりやすい
・睡眠が浅くなり、翌日の血圧や血糖にも影響が出やすい
これらは単独では小さな変化でも、
狭心症・心筋梗塞の既往がある方では、血管や心臓にとって負担になる可能性があります。
少量でもリスクが高まる可能性について
よくある誤解が、
「少量なら大丈夫」
という一律の見方です。
ALDH2の働きが弱い人では、少量でも
・動悸
・血圧上昇
・不整脈の誘発
が起こりやすく、結果として循環器リスクに影響する可能性があります。
また、心筋梗塞の直接原因は「冠動脈の血栓」ですが、
その引き金になり得るものとして、
・血圧の急変
・脱水
・睡眠の質低下
・不整脈
などが重なると、リスクが上がりやすいと言われています。
特に、ステント治療後の方は「再発予防」が大切になるため、
一般論としての“適量飲酒”よりも、個別の安全域を重視したほうが安心です。
このパートのミニまとめ
・日本人にはALDH2が弱い体質が一定数いる
・顔が赤くなる人はアセトアルデヒドがたまりやすい可能性
・少量でも動悸や血圧変動が起きやすい人がいる
・心筋梗塞既往がある場合は「一般論」より「自分の反応」を重視
次は、飲酒が心筋梗塞以外(脳卒中・心不全・高血圧など)にどう影響するかを整理します。ここを知ると、「心筋梗塞だけ見て決めないほうがいい理由」が見えてきます。
飲酒は心筋梗塞以外の循環器疾患にどう影響する?

● 脳卒中(脳梗塞・脳出血)との関係
● 心不全・高血圧・心房細動との関連
● 心臓全体で見たときのバランスの考え方
ここまで心筋梗塞を中心に見てきましたが、飲酒の影響は心臓や血管全体に及びます。

心筋梗塞だけを見ると判断を誤ってしまうこともあるため、脳卒中・心不全・高血圧など、関連する疾患との関係も整理しておくことが大切です。
脳卒中(脳梗塞・脳出血)との関係
脳卒中と飲酒の関係は、心筋梗塞よりも注意が必要とされています。
一般に言われているのは、
・少量飲酒で脳梗塞リスクがわずかに下がる可能性
・飲酒量が増えると脳出血リスクが明確に上がる
という傾向です。
特に日本人では、
・高血圧が背景にある
・脳出血の割合が比較的高い
といった特徴があり、飲酒による血圧上昇が脳出血の引き金になりやすい点が指摘されています。
心筋梗塞は防げても、
脳卒中リスクが上がってしまっては意味がない
という視点は、とても重要です。
心不全・高血圧・心房細動との関連
飲酒が影響しやすい疾患として、次の3つは特に重要です。
・高血圧
・心不全
・心房細動
アルコールは、
・血圧を上げやすい
・心拍数を増やす
・心筋に直接ダメージを与える
といった作用があり、慢性的な飲酒は心不全の進行に関与することがあります。
また、飲酒後に起こる心房細動は「ホリデーハート症候群」と呼ばれることもあり、
・脳梗塞
・心不全悪化
につながる可能性があります。
| 疾患 | 飲酒の影響の考え方 |
|---|---|
| 高血圧 | 少量でも上昇しやすい人がいる |
| 心房細動 | 飲酒が誘因になりやすい |
| 心不全 | 量が増えるほど悪化リスク |
| 脳卒中 | 特に脳出血リスクに注意 |
このように、心筋梗塞以外の疾患を含めて考えると、
「飲酒のメリット」はさらに限定的に見えてきます。
心臓全体で見たときのバランスの考え方

循環器の視点では、
「心筋梗塞だけ良ければいい」
という考え方は取りません。
大切なのは、
・再発リスク
・合併症
・生活の質(QOL)
を含めた全体のバランスです。
飲酒が
・楽しみ
・人とのつながり
としてプラスに働く場合もありますが、
その一方で、見えにくい負担が積み重なっていることもあります。
このパートのミニまとめ
・飲酒は心筋梗塞以外の循環器疾患にも影響する
・脳卒中、とくに脳出血リスクには注意が必要
・心房細動や心不全は飲酒の影響を受けやすい
・疾患全体を見て判断することが大切
次はいよいよ最後のパート、
「心筋梗塞を経験した人が飲酒とどう向き合えばよいか」
について、現実的で無理のない考え方をまとめました。
心筋梗塞を経験した人が飲酒とどう向き合えばよいか

● 主治医と相談すべきポイント
● 飲む場合に意識したい工夫
● 無理に飲まない選択も含めた考え方
ここまでの内容を踏まえると、「結局、自分は飲んでいいのか、控えるべきなのか」と悩まれる方が多いと思います。

心筋梗塞を経験した人にとって大切なのは、正解をひとつに決めることではなく、自分に合った付き合い方を見つけることです。
主治医と相談すべきポイント
飲酒について考えるとき、自己判断だけで決めるのはおすすめできません。
主治医に相談するときは、次のような点を共有すると話がスムーズになります。
・実際の飲酒量と頻度
・飲酒後の体調変化(動悸・血圧・睡眠)
・現在服用している薬
・これまでの心臓の治療経過
医師は「お酒をやめさせたい」わけではなく、
再発リスクを下げるために安全域を一緒に探したい
という立場で話しています。
「毎日飲むけど少量」なのか
「飲まない日を作れるか」
といった具体的な相談は、とても意味があります。
飲む場合に意識したい工夫
「完全にやめるのは現実的に難しい」という方も少なくありません。
その場合は、リスクを下げる工夫を意識することが大切です。
・量をあらかじめ決めておく
・空腹で飲まない
・水を一緒に飲む
・寝る直前は避ける
・体調が悪い日は飲まない
これらは小さな工夫ですが、積み重ねることで心臓への負担は確実に変わってきます。
無理に飲まない選択も含めた考え方
一方で、
・飲むと必ず動悸が出る
・翌日の血圧が高くなる
・不安が強くなる

こうした場合は、飲まない選択が最も安心なこともあります。
近年の研究では、
「心臓のために飲酒を始める必要はない」
という考え方がはっきりしてきました。
飲まないことで、
・睡眠の質が上がる
・体重管理がしやすくなる
・血圧が安定しやすくなる
といったプラス面を実感される方も多いです。
このパートのミニまとめ
・心筋梗塞後の飲酒は「個別判断」が基本
・主治医と具体的に相談することが大切
・飲む場合は量とタイミングを工夫する
・飲まない選択も立派な再発予防
総括とまとめ

画像はイメージです: きのじーパパ日記作成
🔵 こ飲酒と心筋梗塞リスクの関係について、研究背景から日本人特有の体質まで幅広く整理
🔵 悩みの本質は「飲んでいいか・悪いか」ではなく、「自分の体にとって無理がないか」という点にある
🔵 少量飲酒でリスクが下がる可能性はあるが、効果は限定的で個人差が大きいことが分かっている
🔵 飲酒量を見直したり控えめにすることは、再発予防や心臓全体の健康につながる選択肢のひとつ
🔵 何も考えずに飲み続けるより、少し立ち止まって向き合うことで、将来の安心につながる可能性がある
🔵 正しい知識を持ち、ご自身の体調や生活に合った選択をすることが、これからの心臓との上手な付き合い方
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