大腸癌ステージ3と診断され、「リンパ転移」と聞いて強い不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実はステージ3は、治療の選択肢がはっきりしており、根治を目指す段階でもあります。

この記事では、リンパ転移の考え方や細かなステージ分類、治療や予後の目安を、直腸癌ステージ3を経験した立場からやさしく整理しました。
まずは正しい知識を知るところから、一緒に確認していきましょう。
この記事のポイント
① 大腸癌ステージ3はリンパ転移があっても、根治を目指す治療段階である
② リンパ転移の数や深さによって3A・3B・3Cに分類され、治療方針の参考になる
③ 生存率や再発リスクはあくまで目安で、個々の状況に大きく左右される
④ 治療後のフォローと生活の整え方が、安心して日常を送るための支えになる

筆者:癌サバイバーきのじー
2014:直腸ガン宣告〜、2016:一時ストーマ閉鎖手術〜以後排便障害で日々奮闘中、2022:狭心症心臓カテーテル手術、2025:肺がん転移と心筋梗塞。体はガタガタですがお酒と食べることは大好き。その昔トランペットとサラリーマンやってました。
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大腸癌ステージ3とは?まず知っておきたい全体像

▸ステージ3が意味する「進行度」の考え方
▸ステージ3の基本的な定義
▸ステージ1・2との違いはどこにあるのか
▸「ステージ3=末期」ではないという大切な視点
▸この段階で押さえておきたいポイント
「ステージ3」と聞くと、どうしても不安が先に立ってしまう方が多いと思います。
ただ、ステージ3は「手の施しようがない状態」ではありません。治療の選択肢がはっきりしており、根治(がんを取り切ること)を目指す段階である、という点がとても大切なポイントです。

まずは、ステージ3がどのような状態を指すのか、全体像から整理していきましょう。
ステージ3が意味する「進行度」の考え方

大腸癌のステージは、主に次の3つの要素を組み合わせて決まります。
- がんが大腸の壁のどこまで深く入り込んでいるか
- リンパ節に転移があるかどうか
- 遠くの臓器(肝臓・肺など)への転移があるか
このうち、ステージ3の特徴はとても明確です。
- 遠隔転移(肝臓・肺など)は認められない
- しかし、リンパ節転移が確認されている
つまり、がんは局所(お腹の中)にとどまっている段階と考えられています。
ステージ3の基本的な定義
- 原発巣:大腸の壁に存在
- リンパ節:転移あり
- 遠隔転移:なし
この「遠隔転移がない」という点が、治療方針や予後に大きく関わってきます。
ステージ1・2との違いはどこにあるのか
では、ステージ1や2と比べると、何が違うのでしょうか。
大きな違いは、リンパ節転移の有無です。
簡単に整理すると、次のようになります。
- ステージ1・2
- リンパ節転移なし
- 主に手術が中心
- ステージ3
- リンパ節転移あり
- 手術+術後補助化学療法が基本
リンパ節にがん細胞が確認されると、「目に見えないがん細胞が体内に残っている可能性」を考慮する必要があります。そのため、手術だけでなく再発予防を目的とした治療が追加されるのが、ステージ3の特徴です。
「ステージ3=末期」ではないという大切な視点
ここは、特に強くお伝えしたい点です。
- ステージ3は末期がんではありません
- 医学的には「治癒を目指す治療段階」です
実際、ステージ3の大腸癌は、
手術でがんを切除し、必要に応じて抗がん剤治療を行うことで、長期生存が期待できるケースが多いとされています。
私自身も、直腸癌ステージ3Bでリンパ節転移がありましたが、治療を経て「寛解」と言われる期間を過ごすことができました。もちろん個人差はありますが、「ステージ3=希望がない」という考え方は、決して正しくありません。
この段階で押さえておきたいポイント
- ステージ3はリンパ節転移がある段階
- 遠隔転移はなく、根治を目指す治療が行われる
- 手術と術後治療を組み合わせるのが基本
- 数字や言葉だけで過度に怖がりすぎないことが大切
まずは「今どの位置にいるのか」を冷静に知ることが、不安を整理する第一歩になります。
ステージ3でいう「リンパ転移」とはどんな状態?

▸リンパ節転移の仕組みをやさしく解説
▸転移している=全身に広がっている、とは限らない理由
▸リンパ節はいくつ転移すると問題なの?
▸不安になったときに思い出してほしいこと
ステージ3と聞いて多くの方が一番気になるのが、「リンパ転移」という言葉ではないでしょうか。
「転移」と聞くと、一気に不安が強くなるのは自然なことです。ただ、リンパ転移は**大腸癌の進行の中では比較的“早い段階の広がり方”**でもあります。

ここでは、リンパ転移の仕組みと、誤解されやすいポイントをやさしく整理していきます。
リンパ節転移の仕組みをやさしく解説
リンパ節は、体の中に張り巡らされた「リンパ管」の途中にある小さな中継地点です。
本来は、細菌や異物を捕まえて体を守る役割をしています。

大腸癌の場合、がん細胞が次のような流れで広がることがあります。
- 大腸の壁にできたがんが増殖
- 近くのリンパ管に入り込む
- 最寄りのリンパ節にたどり着く
この段階を「リンパ節転移」と呼びます。
ポイントとして押さえておきたいこと
- リンパ節転移は「最初の関門」にあたることが多い
- いきなり全身に散らばるわけではない
- 多くは大腸の近くのリンパ節に限局している
つまり、リンパ転移は「がんが動き始めたサイン」ではありますが、制御不能な状態を意味するものではありません。
転移している=全身に広がっている、とは限らない理由
ここは誤解されやすい部分です。
リンパ節転移があると、
「もう体中にがんが回っているのでは?」
と感じてしまう方も少なくありません。
しかし、医学的には次のように考えられています。
- ステージ3:局所リンパ節までの転移
- ステージ4:遠隔臓器(肝臓・肺など)への転移
つまり、リンパ節転移と遠隔転移はまったく別物です。
医師がリンパ節転移を重要視する理由
- 目に見えないがん細胞が残っている可能性を考慮するため
- 再発リスクを評価するため
- 術後治療(抗がん剤)の必要性を判断するため
「転移=終わり」ではなく、
「転移=治療方針をより丁寧に考える材料」
と捉える方が、実態に近いと言えます。
リンパ節はいくつ転移すると問題なの?
- 1個だけ転移している場合
- 複数個に転移している場合
この違いが、後ほど解説するステージ3A・3B・3Cの分類につながります。
ただし、ここで大切なのは、
- 転移が多い=必ず再発する
- 転移が少ない=安心
という単純な話ではない、という点です。
実際の治療では、
などを総合的に見て判断されます。
不安になったときに思い出してほしいこと
- リンパ転移は「治療可能な範囲」の広がりであることが多い
- 手術でリンパ節ごと切除できるケースが多い
- 術後治療で再発リスクを下げる工夫がされている
私自身もリンパ節転移がありましたが、「転移がある=もうダメ」という説明を受けたことは一度もありませんでした。むしろ、「しっかり治療方針を立てましょう」という話が中心でした。
大腸癌ステージ3の細かい分類(3A・3B・3C)

▸リンパ節の数と深達度で分かれる分類
▸分類ごとに治療や考え方はどう変わる?
▸3B・3Cと聞いても、過度に悲観しなくていい理由
▸数字よりも大切にしてほしい視点
ステージ3とひとことで言っても、実はその中には**いくつかの段階(サブステージ)**があります。
これは「不安をあおるため」ではなく、治療方針や再発リスクをより正確に判断するために設けられているものです。

ここでは、3A・3B・3Cの違いを、できるだけ分かりやすく整理していきます。
リンパ節の数と深達度で分かれる分類

ステージ3の分類は、次の2つの軸で決まります。
- がんが大腸の壁をどこまで突き抜けているか(深達度)
- リンパ節転移の個数
この組み合わせによって、3A・3B・3Cに分かれます。
大まかなイメージ
- 3A:比較的早期+リンパ節転移が少ない
- 3B:中等度の進行+リンパ節転移あり
- 3C:進行度が高い、またはリンパ節転移が多い
少し整理した表で見てみましょう。
| 分類 | がんの深さ | リンパ節転移 | 全体的な位置づけ |
|---|---|---|---|
| 3A | 浅め〜中程度 | 少数 | ステージ3の中では軽め |
| 3B | 深い | 少数〜中等度 | 標準的なステージ3 |
| 3C | 深い/隣接臓器 | 多数 | ステージ3の中で重め |
※あくまでイメージであり、詳細は病理結果で判断されます。
分類ごとに治療や考え方はどう変わる?
ここで気になるのが、「分類が違うと治療も変わるの?」という点ですよね。
結論から言うと、治療の基本は共通です。
- 手術で原発巣とリンパ節を切除
- 術後に補助化学療法を検討
ただし、抗がん剤治療の強さや期間は、分類によって調整されることがあります。
分類ごとの考え方の違い
- 3A
- 再発リスクは比較的低め
- 抗がん剤の内容や期間を慎重に検討
- 3B
- 標準的な術後補助療法が行われることが多い
- 3C
- 再発リスクをより意識
- 抗がん剤治療をしっかり行う方針になりやすい
ここで大切なのは、
「重い分類=治らない」ではないということです。
3B・3Cと聞いても、過度に悲観しなくていい理由
私自身は直腸癌ステージ3Bでした。
「3B」という数字を聞いたとき、正直ショックはありましたが、医師からはこう説明されました。
- 手術で取り切れていること
- 術後治療で再発リスクを下げられること
- 長期生存している人も多いこと
実際、ステージ3Bでも5年・10年と再発なく過ごしている方はたくさんいます。
分類はあくまで「統計的な目安」であり、
あなた自身の未来を決めつけるものではありません。
数字よりも大切にしてほしい視点
- 病理結果を正確に把握すること
- 医師と治療方針をすり合わせること
- 分類だけで自分を追い込まないこと
ステージ3の分類は、治療を“より最適化するための道具”です。
恐れるためのラベルではありません。
ステージ3の主な治療法とその目的

▸手術が治療の中心になる理由
▸手術後に確認されるポイント
▸術後補助化学療法(抗がん剤治療)の位置づけ
▸「再発を防ぐ」という治療目標について
ステージ3と診断されたとき、「これからどんな治療をするのか」「どこまで頑張ればいいのか」と先が見えず、不安になる方はとても多いです。
ただ、ステージ3の治療はある程度“型”が決まっているため、全体像を知ることで気持ちが少し整理しやすくなります。

ここでは、治療の流れと、それぞれの目的を丁寧に見ていきましょう。
手術が治療の中心になる理由
ステージ3の大腸癌治療において、最も重要な治療は手術です。

手術の目的は大きく2つあります。
- 原発巣(大腸のがん)を完全に切除する
- リンパ節も含めて取り除くことで、目に見えるがんを一掃する
リンパ転移がある場合でも、多くは大腸の周囲リンパ節に限られています。そのため、手術時にリンパ節郭清(かくせい)を行い、まとめて切除することで「見える範囲のがん」は取り切れるケースがほとんどです。
手術後に確認されるポイント
- がんは完全に切除できているか
- 切除断端にがん細胞が残っていないか
- 何個のリンパ節に転移があったか
これらは、今後の治療方針を決める重要な材料になります。
術後補助化学療法(抗がん剤治療)の位置づけ
ステージ3では、手術のあとに**抗がん剤治療(術後補助化学療法)**を行うことが一般的です。
これは、「残っているかもしれない、目に見えないがん細胞」を叩くための治療です。
抗がん剤治療の目的
- 再発リスクを下げる
- 将来的な転移を防ぐ可能性を高める
よく誤解されがちですが、
抗がん剤=がんが残っている証拠ではありません。
「念のため」「予防的に行う」という意味合いが強く、
将来の安心材料を増やすための治療と考えると分かりやすいと思います。
抗がん剤治療は必ず受けなければならない?
これは多くの方が悩むポイントです。
結論としては、
- 標準治療としては「推奨される」
- しかし「強制」ではない
という位置づけになります。
判断の材料になる要素
- ステージ3A・3B・3Cの分類
- リンパ節転移の個数
- 年齢や体力、持病
- 副作用への不安や生活背景
これらを総合的に考え、医師と相談しながら決めていくものです。
私自身も抗がん剤治療を経験しましたが、「なぜ必要なのか」「どこまでやるのか」を理解できたことで、気持ちの整理がつきました。
「再発を防ぐ」という治療目標について
ステージ3の治療で一貫しているキーワードは、
**「再発をできるだけ防ぐ」**です。
- 手術:今あるがんを取り切る
- 抗がん剤:将来のリスクを下げる
この2本柱で考えると、治療の意味が見えやすくなります。
覚えておいてほしいこと
- 治療は「今の自分を守るため」だけでなく
- 数年後の自分を守るために行われている
不安や迷いがあるのは当然です。だからこそ、「治療の目的」を理解することが、納得のいく選択につながります。
ステージ3の予後(生存率)の目安と考え方

▸生存率はどう読み取ればいい?
▸数字に振り回されすぎないために知っておきたいこと
治療の話がひと通り見えてくると、どうしても気になってくるのが「予後」や「生存率」という言葉だと思います。
数字を見るのが怖い、という方も少なくありません。
ただ、ここで大切なのは、生存率は“未来を言い当てる数字”ではないということです。

あくまで「目安」として、落ち着いて受け取る視点を一緒に整理していきましょう。
生存率はどう読み取ればいい?
大腸癌ステージ3の生存率は、一般的に5年生存率という形で示されます。

これは「治療後5年が経過した時点で生存している人の割合」を示した統計です。
よく示される目安(全体像)
- ステージ3全体:おおよそ60〜75%前後
- 3A:比較的高め
- 3B:中間
- 3C:やや低め
ただし、これは過去のデータを平均した数字です。
注意しておきたいポイント
つまり、この数字は「あなた個人の結果」を示しているわけではありません。
数字に振り回されすぎないために知っておきたいこと
生存率を見たとき、つい
「○%なら、残りの△%に入ったらどうしよう」
と考えてしまうのは、とても自然な反応です。
でも、ここで少し視点を変えてみてください。
- 生存率は「集団の統計」
- あなたは「その中の一人」ではあるけれど
- 同じ条件の人は一人もいない
実際の診療現場では、医師は生存率だけで判断していません。
医師が重視している要素
- 手術で完全切除できているか
- リンパ節転移の個数
- 術後治療をどこまで行えたか
- 定期フォローを継続できているか
こうした要素の積み重ねが、その人なりの予後を形作っていきます。
「5年生存率=5年で終わり」ではない
もうひとつ、誤解されやすい点があります。
5年生存率という言葉から、
「5年経ったら安心」「5年を超えたら何も起こらない」
と受け取られることがありますが、実際は少し違います。
- 5年はひとつの大きな節目
- 再発リスクが下がる目安でもある
- しかし、それ以降もフォローは続く
私自身も、5年を過ぎてから「ひと安心」と言われましたが、その後も検査や経過観察は続いてきました。数字はゴールではなく、通過点と考える方が、心の負担は軽くなるかもしれません。
予後を「少しでも良い方向に」考えるために
不確実な未来を完全にコントロールすることはできません。
ただ、できることはあります。
- 治療方針を理解し、納得して進む
- 定期検査をきちんと受ける
- 小さな体調変化を見逃さない
- 不安を一人で抱え込まない
生存率は「希望を奪う数字」ではなく、
治療の効果が期待できる根拠のひとつでもあります。
リンパ転移があった場合の再発リスクと注意点

▸再発しやすい時期とその理由
▸再発=終わり、ではないという視点
リンパ転移があったと聞くと、「やはり再発しやすいのでは…」と不安になる方は少なくありません。
その気持ちはとても自然ですし、無理に打ち消す必要もありません。
ただし、再発リスクは正しく知ることで、過度な恐怖から距離を取ることができます。

ここでは、再発の考え方と注意点を整理していきましょう。
再発しやすい時期とその理由

大腸癌ステージ3の場合、再発が起こりやすいとされる時期には、ある程度の傾向があります。
一般的に注意が必要とされる時期
- 術後1〜3年以内
- 特に最初の2年はフォローが密になることが多い
この理由は、手術や抗がん剤治療後に、もし体内に残っていた微小ながん細胞が増えやすい時期と考えられているからです。
ただし、これは「必ず再発する」という意味ではありません。
- 再発しない方のほうが多い
- 再発があっても、早期発見できれば治療の選択肢がある
という点は、ぜひ覚えておいてほしいポイントです。
リンパ転移があると再発率は高くなるの?
結論から言うと、
リンパ転移がある場合、再発リスクはステージ1・2より高くなる傾向があります。
ただし、ここでも重要なのは「どの程度か」という点です。
再発リスクに影響する要素
- 転移リンパ節の数
- がんの深さ
- 術後補助化学療法の有無
- がんの性質(増殖の速さなど)
リンパ転移が1個だけの場合と、複数個ある場合とでは、リスクの考え方も変わってきます。そのため、一律に語れるものではありません。
再発=治療が失敗、ではないという視点
再発という言葉には、とても重たい響きがあります。
「再発したら終わり」「これまでの治療が無意味だったのでは」と感じてしまう方もいます。
でも、医療の現場では次のように考えられています。
- 再発は「想定されているリスクのひとつ」
- だからこそ、定期検査が組まれている
- 早期発見できれば、再び治療を行える可能性がある
実際、再発後に手術や薬物治療を受け、長く生活されている方も少なくありません。
私自身も、長い経過の中で新たな転移が見つかりましたが、「見つかったからこそ治療につなげられた」という側面もあります。
再発を恐れすぎないためにできること
不安をゼロにすることは難しいですが、次のような姿勢が心を支えてくれます。
- 定期検査を「不安の場」ではなく「安心確認の場」と捉える
- 体調の変化をメモしておく
- 不安なときは医師や看護師に相談する
- 同じ経験を持つ人の声を参考にしすぎない(比較しすぎない)
再発リスクは「知って備えるもの」であって、
毎日を縛る恐怖である必要はありません。
治療後に大切な検査・フォローアップの考え方

▸定期検査の内容と頻度の目安
▸画像検査・血液検査で何を見ているのか
手術や抗がん剤治療がひと段落すると、「これで終わりなのかな?」と感じる一方で、「これから何を気にしていけばいいのだろう」と不安になる方も多いと思います。
大腸癌ステージ3では、治療後のフォローアップ(経過観察)がとても重要な役割を持っています。

ここでは、検査の目的や内容を知り、「検査に振り回されすぎない考え方」を整理していきます。
定期検査の内容と頻度の目安

治療後のフォローアップは、「万が一の再発を早く見つけること」が主な目的です。
そのため、治療直後から一定期間は、やや頻繁に検査が行われます。
よく行われる検査と目安の頻度
- 診察・問診:数か月に1回
- 血液検査(腫瘍マーカーなど):3〜6か月に1回
- CTなどの画像検査:半年〜1年に1回
- 大腸内視鏡検査:術後1年、その後は数年ごと
※実際の頻度は、病院や個々の状況によって調整されます。
「こんなに検査が必要なの?」と感じるかもしれませんが、
これは**再発を疑っているからではなく、早期発見のための“安全確認”**と考えると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
画像検査・血液検査で何を見ているのか
検査内容を知っておくと、結果を待つ時間の不安が和らぐことがあります。
血液検査(腫瘍マーカー)
- 主にCEAなどが測定される
- 上昇=必ず再発、ではない
- 変化の「傾向」を見る指標
画像検査(CTなど)
- 肝臓・肺・リンパ節などを確認
- 小さな変化を早期に見つける
- 症状が出る前に発見できることも
検査は単独で判断されることは少なく、
複数の結果を組み合わせて総合的に判断されます。
「検査が怖い」と感じたときの向き合い方
フォローアップ期間中、
「検査前になると眠れない」
「結果を聞く日が近づくと気持ちが落ち着かない」
という方は少なくありません。
それは、とても自然な反応です。
心の負担を軽くするヒント
- 検査=「異常探し」ではなく「無事確認」と捉える
- 不安な気持ちは、診察時にそのまま伝えてよい
- 毎回同じ不安を感じる自分を責めない
私自身も、検査前は何年経っても緊張します。
それでも、「検査があるからこそ、今の状態を把握できている」と思えるようになってから、少しずつ向き合い方が変わりました。
フォローアップは「治療の延長線上」
治療後の検査は、がんと戦う時間ではありません。
これからの生活を守るための時間です。
- 再発を早く見つける
- 治療の選択肢を広げる
- 「今は大丈夫」という安心を積み重ねる
フォローアップは、あなたを縛るものではなく、支える仕組みです。
治療後の生活・心のケア・支えになる情報

▸日常生活で気をつけたいこと
▸不安とどう付き合っていくか
▸家族・周囲・医療者との関わり方
治療が終わったあと、「体は元に戻ってきたけれど、気持ちが追いつかない」と感じる方はとても多いです。
大腸癌ステージ3の治療後は、身体の回復と同じくらい、心のケアも大切な時間になります。

ここでは、日常生活のポイントと、不安との付き合い方、支えになる情報について整理していきます。
日常生活で気をつけたいこと
治療後の生活に「これをしてはいけない」という絶対的なルールは、実はあまりありません。

ただし、再発予防や体調管理の観点から、意識しておきたいポイントはあります。
生活面での基本的な考え方
- 無理に「健康的な完璧生活」を目指さない
- 続けられる範囲で整える
- 体調の波がある前提で考える
よく意識されるポイント
- 食事:バランスを意識しつつ、食べられるものを大切に
- 運動:軽い散歩やストレッチなど、負担の少ないものから
- 睡眠:量よりも「休めた感覚」を重視
- お腹の調子:排便リズムの変化は自然なこととして受け止める
「治療前と同じに戻らなきゃ」と思いすぎないことが、結果的に生活を楽にしてくれます。
不安とどう付き合っていくか
再発への不安は、「なくすもの」ではなく、付き合っていくものに近いかもしれません。
多くの方が感じる不安
- 検査前になると気持ちが落ち着かない
- 体調の変化を過剰に気にしてしまう
- 将来のことを考えると怖くなる
こうした感情は、「弱いから」ではなく、命と真剣に向き合った証拠でもあります。
不安が強いときの対処のヒント
- 不安を書き出して「見える化」する
- 信頼できる医療者にそのまま伝える
- 同じ経験者の情報は「参考程度」にとどめる
私自身も、「何年経っても不安はゼロにならない」と感じています。ただ、不安に飲み込まれる時間は、少しずつ短くなってきました。
家族・周囲・医療者との関わり方
治療後は、周囲との距離感に悩むこともあります。
- 心配されすぎて疲れてしまう
- 逆に、あまり触れられず寂しく感じる
どちらも、よくあることです。
関係性を楽にするための工夫
- 「今は大丈夫」「ここは不安」など、気持ちを言葉にする
- 無理に元気なふりをしない
- 医師・看護師・相談窓口を遠慮なく使う
医療者は、治療だけでなく「生活の相談」を受ける役割も担っています。困ったときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
支えになる情報・制度を知っておく
治療後の生活では、医療以外のサポートも心強い味方になります。
代表的な支援の例
- がん相談支援センター
- 就労支援・復職相談
- 医療費や制度に関する相談窓口
「使うかどうか」は別として、知っているだけで安心感が増すこともあります。
治療後の生活は、「元に戻る」ことではなく、
新しいバランスを作っていく時間です。
直腸癌ステージ3を経験した立場から伝えたいこと

▸リンパ転移があっても「今」を生きられる
▸不安なときほど、正しい情報が支えになる
ここまで、ステージ3やリンパ転移、治療や予後について整理してきました。
最後に、直腸癌ステージ3を実際に経験した一人として、どうしてもお伝えしておきたいことがあります。

これは医学的な正解というより、同じ立場に立ったからこそ感じた「現実的な視点」です。
リンパ転移があっても「今」を生きられる
診断を受けた直後は、
「この先どうなるんだろう」
「普通の生活に戻れるんだろうか」
と、先のことばかり考えていました。
でも実際には、
- 治療を受けながら日常を取り戻していく時間があり
- 検査を重ねながら「今は大丈夫」を積み重ね
- 気づけば、がんのことを考えない日も増えていく
そんな変化が少しずつ訪れました。
リンパ転移があったからといって、
人生が止まるわけでも、希望が消えるわけでもありません。
「寛解」や「再発」は白黒では語れない

私は術後5年で「寛解」と言われ、その後も定期フォローを続けてきました。
そして、さらに時間が経ってから、新たな転移が見つかる経験もしました。
ここで感じたのは、
という現実です。
がんとの付き合いは、
一直線ではなく、波のある長い時間なのだと思います。
大切なのは、
- 見つかったら、次の手を考える
- 状況に応じて、治療を選び直す
- 「今できること」に目を向ける
この積み重ねが、結果として「生きる時間」を作ってくれます。
不安なときほど、正しい情報が支えになる
ステージ3、リンパ転移、生存率…。
言葉だけを見ると、とても重く感じます。
でも、
- 正確な情報を知る
- 医師の説明を理解する
- 必要以上に想像を膨らませない
これだけでも、不安は少し整理されます。
ネット上にはさまざまな体験談がありますが、
誰かの結果が、あなたの未来を決めるわけではありません。
「一人で抱えなくていい」ということ
がんと向き合う過程では、
- 強くいなければ
- 前向きでいなければ
と、自分に言い聞かせてしまいがちです。
でも、弱音を吐いてもいいですし、立ち止まっても大丈夫です。
- 医師
- 看護師
- 家族
- 同じ経験をした人
頼れる先は、思っている以上にあります。
最後に、今このページを読んでいるあなたへ
- まだ、選択肢はあります
- まだ、できる治療があります
- そして、まだ「これから」があります
一気に前向きになる必要はありません。
まずは、「正しく知ること」からで十分です。
この記事が、あなたの不安を少し整理し、
次の一歩を考えるための静かな支えになれたなら幸いです。
総括とまとめ

🔵大腸癌ステージ3におけるリンパ転移の考え方や、細かなステージ分類、治療や予後について全体像を整理。
🔵ステージ3の本質は「リンパ節までにとどまった進行」であり、遠隔転移とは異なる治療が行われる段階です。
🔵手術と術後補助化学療法、そして定期的なフォローアップが、再発リスクを下げるための重要な柱。
🔵治療法や検査は「不安を煽るもの」ではなく、将来の安心を積み重ねるための仕組みとして考える。
🔵何も行動しないまま不安だけを抱えるより、正しい情報を知り、医師と相談しながら進むことで心の負担は軽くなるでしょう。
🔵一気に前向きになる必要はありません。今の状況を理解し、これからの生活を守るための一歩につなげよう!
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