心臓カテーテル検査を控えていると、「どこからカテーテルを入れるのだろう」「手首と足の付け根では何が違うの?」と、不安や疑問が次々に浮かんでくるものです。
特に、過去に検査や治療を経験して辛い思いをした方ほど、穿刺部位は気になるポイントではないでしょうか(正に私がそうなのです)。

この記事では、心臓カテーテル検査で選ばれる穿刺部位の種類とその理由、合併症や術後の負担の違いを、体験談も交えながらわかりやすく整理しています。
正しく知ることで、必要以上の不安を減らし、自分なりに納得して検査に臨むための判断材料が得られるはずです。まずは一緒に、基本から確認していきましょう。
この記事のポイント
① 心臓カテーテル検査の穿刺部位は、安全性や治療内容を考慮して選ばれる
② 手首・鼠径部・親指付け根では、術後の負担や合併症リスクに違いがある
③ 穿刺部位の選択には、血管状態や既往歴など患者因子が大きく関わる
④ 事前に理由を理解しておくことで、不安を減らし納得して検査に臨める

筆者:癌サバイバーきのじー
2014:直腸ガン宣告〜、2016:一時ストーマ閉鎖手術〜以後排便障害で日々奮闘中、2022:狭心症心臓カテーテル手術、2025:肺がん転移と心筋梗塞。体はガタガタですがお酒と食べることは大好き。その昔トランペットとサラリーマンやってました。
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心臓カテーテル検査で「穿刺部位」が重要とされる理由

● なぜ同じ検査でも穿刺する場所が違うのか
● 穿刺部位が術後の負担や合併症に与える影響
心臓カテーテル検査と聞くと、「検査そのもの」や「結果」に意識が向きがちですが、実は**どこからカテーテルを入れるか(穿刺部位)**は、検査の安全性や術後の過ごしやすさに大きく関わります。
体験された方の中には、「検査よりも、その後の安静がつらかった」と感じる方も少なくありません。

だからこそ、穿刺部位の違いを知っておくことは、不安を減らす大切な一歩になります。
なぜ同じ検査でも穿刺する場所が違うのか
穿刺部位は、医師の好みだけで決まるものではありません。
以下のような複数の条件を総合的に判断して選択されます。
つまり、穿刺部位は「楽そうだから」「新しいから」ではなく、その人にとって最も安全と考えられる選択が基本になっています。
穿刺部位が術後の負担や合併症に与える影響
穿刺部位によって、検査後の生活制限や注意点は大きく変わります。

特に影響が出やすいのは次のポイントです。
以下に、代表的な穿刺部位による違いを整理しました。
| 観点 | 手首(橈骨) | 鼠径部(大腿) |
|---|---|---|
| 出血リスク | 比較的低い | やや高め |
| 安静時間 | 短め | 長め(数時間〜) |
| 術後の動きやすさ | 良好 | 制限が強い |
| 緊急対応 | やや不向き | 非常に向いている |
このように、穿刺部位は検査当日だけでなく、その後の体への負担や安心感にも直結します。
次は、それぞれの穿刺部位について、もう少し具体的に見ていきます。
心臓カテーテル検査の主な穿刺部位はこの3つ

● 橈骨動脈(手首)
● 大腿動脈(鼠径部)
● 遠位橈骨動脈(親指の付け根)
● 3つの穿刺部位をシンプルに比較すると
心臓カテーテル検査で使われる穿刺部位は、現在主に3つあります。
「どれが一番いい・悪い」という単純な話ではなく、それぞれに役割と適した場面があるのが実情です。

ここでは全体像をつかめるよう、まずは概要から整理していきます。
橈骨動脈(手首)
いま最も広く普及している穿刺部位です。
手首の親指側を走る動脈からカテーテルを挿入します。
一方で、血管が細い方や、強い動脈硬化がある場合は適さないこともあります。
大腿動脈(鼠径部)
太ももの付け根(足の付け根)から行う、昔からある標準的な方法です。
現在でも緊急時や複雑な治療では欠かせない穿刺部位です。
- 太い血管でカテーテル操作が安定しやすい
- 緊急カテーテルや重症例で選択されやすい
- 太径デバイス(大きな器具)が使用可能
ただし、術後は長時間の安静が必要で、トイレや体位変換が大きな負担になることもあります。
遠位橈骨動脈(親指の付け根)
近年、少しずつ導入が進んでいる新しい選択肢です。

手首よりさらに先、親指の付け根付近から穿刺します。
ただし、まだ対応できる施設や医師が限られているのが現状です。
3つの穿刺部位をシンプルに比較すると
それぞれの特徴を、目的別に整理すると以下のようになります。
| 穿刺部位 | 主な特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 橈骨動脈 | 低侵襲・回復が早い | 定期検査・予定手術 |
| 大腿動脈 | 安定性が高い | 緊急・重症・複雑治療 |
| 遠位橈骨動脈 | 血管温存・新技術 | 再検査が想定される人 |
穿刺部位は、「楽そう」「新しそう」で選ばれるものではなく、安全性・確実性・将来性のバランスで決まります。
次は、まず多くの方が経験することになる手首(橈骨動脈)穿刺について、メリットや注意点を詳しく見ていきましょう。
手首(橈骨動脈)穿刺の特徴とメリット・注意点

● 橈骨動脈穿刺が選ばれやすい理由
● 出血・血腫などの合併症リスク
● 橈骨動脈穿刺後の看護観察ポイント
● 橈骨動脈穿刺が向かないケースもある
心臓カテーテル検査と聞いて、「手首からでした」と話される方が増えてきました。
それだけ橈骨動脈(手首)穿刺は現在の標準的な方法として、多くの医療機関で採用されています。

ここでは、なぜ選ばれやすいのか、そして知っておきたい注意点を整理していきます。
橈骨動脈穿刺が選ばれやすい理由
橈骨動脈穿刺の最大の特徴は、身体への負担が比較的少ないことです。
特に、高齢の方や「長時間じっとしているのがつらい」という方にとって、術後の動きやすさは大きなメリットになります。
出血・血腫などの合併症リスク
安全性が高い方法とはいえ、合併症がゼロになるわけではありません。
橈骨動脈穿刺で注意される主な点は次のとおりです。
- 穿刺部の皮下出血や軽度の腫れ
- 一時的な動脈閉塞(血流が弱くなる状態)
- 手首の違和感やしびれ感
多くは時間とともに改善することが多く、適切な圧迫と観察で重症化するケースは少ないとされています。
橈骨動脈穿刺後の看護観察ポイント

術後は、医療スタッフが以下の点を重点的に観察します。
患者さん自身も、「いつもと違う痛み」「急に腫れてきた」などを感じた場合は、遠慮せずに伝えることが大切です。
橈骨動脈穿刺が向かないケースもある
すべての方に適しているわけではありません。
次のような場合は、別の穿刺部位が検討されることもあります。
- 血管が非常に細い、または強く曲がっている
- 透析シャントがある
- 過去に橈骨動脈が閉塞したことがある
橈骨動脈穿刺は、「楽そうだから」ではなく、安全性を確認した上で選択される方法です。
次は、緊急時や重症例で今も重要な役割を担う鼠径部(大腿動脈)穿刺について解説していきます。
鼠径部(大腿動脈)穿刺が必要になるケースとは

● 緊急カテーテルで大腿動脈が選ばれる理由
● 大腿動脈穿刺のメリットと身体的負担
● 安静時間・合併症リスクの考え方
心臓カテーテル検査で「足の付け根からでした」と聞くと、不安を感じる方も少なくありません。
確かに身体的な負担は大きくなりやすい方法ですが、大腿動脈穿刺は今もなお欠かせない重要な選択肢です。

ここでは、なぜこの方法が選ばれるのかを整理していきます。
緊急カテーテルで大腿動脈が選ばれる理由
大腿動脈は太く、まっすぐ心臓へ向かうため、迅速かつ確実な操作が可能です。
こうしたケースでは、安全性と成功率を最優先して大腿動脈が選択されます。
大腿動脈穿刺のメリットと身体的負担
メリットがある一方で、術後の負担が大きくなる傾向があります。
【メリット】
- 血管径が太く、カテーテル操作が安定
- 複雑な治療に対応しやすい
- 緊急時でも確実性が高い
【身体的負担】
- 長時間の安静が必要(数時間〜半日程度)
- トイレや体位変換が制限される
- 圧迫止血による不快感
特に、安静が守れないと出血や血腫のリスクが高まるため、術後管理が重要になります。
安静時間・合併症リスクの考え方

大腿動脈穿刺後は、以下の点に注意が必要です。
- 出血・血腫・偽動脈瘤
- 動脈損傷や神経圧迫
- 腰痛や背部不快感
合併症リスクは決して高頻度ではありませんが、起こると影響が大きいため慎重な管理が求められます。
| 観点 | 大腿動脈穿刺 |
|---|---|
| 安静時間 | 長い |
| 出血リスク | やや高い |
| 緊急対応 | 非常に適している |
| 術後負担 | 大きめ |
「つらかった」という体験談が多いのも事実ですが、それは裏を返せば、命を守るために必要な選択だったというケースも少なくありません。
次の章では、近年注目されている遠位橈骨動脈(親指付け根)穿刺について解説していきます。
遠位橈骨動脈(親指付け根)穿刺の新しい選択肢

● 遠位橈骨動脈が注目されている理由
● 利点と欠点、まだ普及途中な理由
● 遠位橈骨動脈穿刺が向いている人
「手首ではなく、親指の付け根からでした」と聞くと、少し意外に感じる方もいるかもしれません。

遠位橈骨動脈穿刺は、まだ広く知られてはいませんが、将来を見据えた新しいアプローチとして注目されています。
遠位橈骨動脈が注目されている理由
この方法が注目される背景には、「血管をできるだけ温存したい」という考え方があります。
特に、今後も複数回カテーテル治療を受ける可能性がある方にとって、意味のある選択肢になることがあります。
利点と欠点、まだ普及途中な理由
遠位橈骨動脈穿刺にはメリットだけでなく、課題も存在します。
【利点】
- 術後の安静制限が少ない
- 手首の可動域への影響が少ない
- 美容的な満足度が高いと感じる人もいる
【欠点・課題】
- 血管が細く、穿刺が難しい
- 習熟した医師が必要
- 対応施設が限られている

そのため、現時点では「誰でも選べる方法」というより、条件が合う場合の選択肢として位置づけられています。
遠位橈骨動脈穿刺が向いている人
以下のような方には、検討されることがあります。
| 観点 | 遠位橈骨動脈 |
|---|---|
| 血管温存 | ◎ |
| 術後負担 | 少なめ |
| 技術難易度 | 高い |
| 普及度 | まだ限定的 |
遠位橈骨動脈穿刺は、「新しいから良い」というものではなく、将来を見据えた選択肢のひとつです。
次は、ここまで紹介した穿刺部位による合併症の違いを整理していきます。
穿刺部位による合併症の違いを整理する

● 出血・血腫・閉塞リスクの比較
● 術後の安静制限と生活への影響
● 合併症は「確率」より「早期発見」が大切
ここまで、主な穿刺部位それぞれの特徴を見てきましたが、実際に多くの方が気になるのは
「どこから入れると、どんな合併症が起こりやすいのか」という点ではないでしょうか。

不安を煽る必要はありませんが、違いを知っておくことで心構えがしやすくなります。
出血・血腫・閉塞リスクの比較
穿刺部位によって、起こりやすい合併症の傾向は異なります。
- 手首(橈骨動脈):
出血や大きな血腫は比較的少なく、軽度の皮下出血が中心 - 鼠径部(大腿動脈):
出血量が多くなりやすく、血腫や偽動脈瘤など重めの合併症に注意 - 遠位橈骨動脈:
血管閉塞リスクが低いとされる一方、穿刺困難による局所トラブルに注意

いずれも適切な圧迫止血と観察で重症化を防げるケースがほとんどです。
術後の安静制限と生活への影響
合併症と並んで重要なのが、術後の生活への影響です。
| 項目 | 橈骨動脈 | 大腿動脈 | 遠位橈骨 |
|---|---|---|---|
| 安静時間 | 短い | 長い | 短い |
| トイレ動作 | 比較的自由 | 制限あり | 自由度高い |
| 退院の早さ | 早い | 遅れやすい | 早い |
「検査自体より、その後がつらかった」と感じる方が多いのは、安静制限の差が大きな理由です。
合併症は「確率」より「早期発見」が大切
どの穿刺部位でも共通して大切なのは、
- 痛みが強くなっていないか
- 腫れや皮膚の色が変わっていないか
- しびれや冷感が出ていないか
こうしたサインを早めに伝えることです。
合併症は「起こる・起こらない」より、「気づいて対応できるか」が重要になります。
次は、こうした判断の背景にある
**「穿刺部位の選択に影響する患者因子」**について解説していきます。
穿刺部位の選択に影響する「患者因子」とは

● 血管の太さ・動脈硬化の程度
● 既往歴(透析・手術歴・再カテーテル)
● 緊急性・治療内容・医療機関の方針
「できれば手首がいい」「前回は足の付け根でつらかった」
そう感じるのは自然なことですが、穿刺部位は患者さんの希望だけで決まるものではありません。

安全に検査・治療を行うために、いくつかの“患者因子”が総合的に考慮されます。
血管の太さ・動脈硬化の程度
まず最も重要なのが、血管そのものの状態です。
こうした場合、無理に手首を選ぶより、安全に操作できる部位が優先されます。
既往歴(透析・手術歴・再カテーテル)
これまでの治療歴も、穿刺部位選択に大きく影響します。
- 透析シャントがある、または将来作成予定
- 過去に橈骨動脈閉塞を起こした
- 何度も同じ部位でカテーテルを受けている

特に再検査・再治療が想定される方では、血管温存の視点が重要になります。
緊急性・治療内容・医療機関の方針
患者因子に加え、状況面の要素も無視できません。
以下に、穿刺部位選択に影響する要素を整理します。
| 分類 | 具体的な因子 |
|---|---|
| 血管因子 | 太さ・硬化・走行 |
| 既往歴 | 透析・手術・再治療 |
| 状況因子 | 緊急性・治療内容 |
| 施設因子 | 設備・経験 |
穿刺部位は「楽かどうか」ではなく、今の安全と将来の選択肢を守るための判断です。
次は、体験者の視点から、穿刺部位選択で後悔しないための考え方をお伝えします。
体験者の視点から見た「穿刺部位選択で後悔しない考え方」

● 複数回カテーテルを受ける可能性がある人へ
● 医師・看護師に事前に聞いておきたいポイント
● 「つらかった体験」は無駄ではない
● 後悔しないための考え方まとめ
実際に心臓カテーテル検査を受けたことがある方ほど、
「次はどこからになるんだろう」「またあの安静があるのかな」と、不安がよぎるものです。

だからこそ、体験者の視点で整理しておくことは、気持ちの準備につながります。
複数回カテーテルを受ける可能性がある人へ
狭心症や心筋梗塞の治療では、一度きりで終わらないケースも珍しくありません。
こうした可能性がある場合、「今回楽だったか」だけでなく、
将来どの血管を残しておくかという視点も大切になります。
医師・看護師に事前に聞いておきたいポイント
遠慮せずに、次のような点を確認してみてください。
- 今回の穿刺部位を選んだ理由
- 他の選択肢はあったのか
- 再治療時の影響はあるか

聞くこと自体が失礼になることはありません。
理解して臨むことで、検査後の納得感は大きく変わります。
「つらかった体験」は無駄ではない
足の付け根と手首、両方を経験している方は特に、
「あれは本当につらかった」と感じる記憶が残りがちです。
でも、その体験は、
という意味で、次につながる大切な情報でもあります。
後悔しないための考え方まとめ
| 視点 | 意識したいポイント |
|---|---|
| 短期 | 術後の負担・安静 |
| 中期 | 合併症リスク |
| 長期 | 血管温存・再治療 |
「一番楽そうな方法」ではなく、
「今と将来の自分にとって納得できる選択」を目指すことが、後悔を減らすコツです。
次の章では、検査前に知っておくことで不安が軽くなる心構えについてお伝えします。
不安を減らすために知っておきたい心臓カテーテル検査の心構え

● 穿刺部位は「安全性重視」で決まる
● 自分に合った選択をするための情報整理
● 「知っている」だけで気持ちは変わる
● 心構えのまとめ
心臓カテーテル検査は、どうしても緊張や不安がつきものです。
特に穿刺部位については、「どこからになるのか」「またつらい思いをしないか」と考えてしまいますよね。

最後に、気持ちを少し楽にするための心構えを整理しておきましょう。
穿刺部位は「安全性重視」で決まる
大前提として、穿刺部位は医師が一方的に決めているわけではありません。
こうした要素を踏まえ、「今この人にとって最も安全な選択」がされます。
希望が通らないように感じる場面があっても、命を守るための判断であることがほとんどです。
自分に合った選択をするための情報整理
不安を減らすためには、事前に以下を整理しておくと役立ちます。
- 過去のカテーテル経験(穿刺部位・つらさ)
- 出血や合併症を起こしたことがあるか
- 生活面で特に困ったこと(トイレ、腰痛など)
これらを伝えることで、医療側も配慮しやすくなります。
「知っている」だけで気持ちは変わる
同じ検査でも、
- なぜその穿刺部位なのかを理解している
- 起こりうることを事前に知っている

この2点があるだけで、心の余裕は大きく違ってきます。
知らない不安より、理解した上で受ける検査のほうが、精神的な負担は軽くなるものです。
心構えのまとめ
| ポイント | 意識したいこと |
|---|---|
| 判断基準 | 安全性が最優先 |
| 事前準備 | 経験・希望を伝える |
| 気持ち | 知ることで安心につながる |
心臓カテーテル検査は、怖いものではありますが、
これからの心臓を守るための大切な一歩でもあります。
「知らないから不安」な状態から、「理解して受ける検査」へ。
そのための情報として、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
「総括とまとめ」

🔵 こ心臓カテーテル検査における穿刺部位の種類と、それぞれが選ばれる理由について解説
🔵 穿刺部位の違いによる不安の本質は、「安全性」と「術後の負担がどうなるか」にある
🔵 手首・鼠径部・遠位橈骨動脈には、それぞれ役割があり状況に応じた選択がされている
🔵 体の状態や既往歴を踏まえた穿刺部位選択は、将来の治療や生活の質を守ることにもつながる
🔵 何も知らずに受けるより、少し理解しておくだけで不安や後悔は減らせる
🔵 正しい情報を知り、自分の状況を伝えることで、納得感のある一歩を踏み出せるはず
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